ライオンヘッド金具の出来るまで


ここではライオンヘッド金具の出来るまでのワックス作業を細かく載せていきます
どのような作業を経て「アウルズの作品達が出来るのか?」という参考にして頂ければ嬉しく思います。


まずは正確な長方形を用意します
一辺の長さを揃えるのは勿論、平行も正確に出します。
誤差は大体0.1ミリ程です。
これが狂ってしまうと後々大変になるので正確に削ってやるのが大切ですね。
そしてそれに必要な線を入れていきます。
その線通りに少しずつ落としていきます。
更に落としていきます。
次は角を取っていきます
鬣となる場所も面を出します
可動部分を削り取ります
裏はこんな感じですね
この時点では大体ですけどね
顔の彫りに入ります
角を全て取って丸みを出します
少しずつ様子を見ながら進めていきます
こんな感じですね
慎重に少しずつ・・・・
口の下のいらないワックスを削り取ります
牙になる部分も少し余計にとっておきます
いきなり形にはせずに少しずつですね
顔の形が大体掴めたら今度は中をしっかり抜いていきます
最初から中をしっかり抜いてしまうと表面の削りに制限が出てしまうからです。
命の「目」をおおまかに彫ります
顔の表情を少し彫り進めたら、次は鬣部分の角を取って丸みを出していきます
これも全体の形を見ながら少しずつ進めます
顔に一番近い所の鬣を彫り出します
横にも大まかにラインを入れてから角を取り、丸めてやります
顔の表情と、鬣の彫りが60%程進んだ所で、次は下顎のパーツを始めます。
噛み合せが大事なので、上のパーツの形が掴めてから下パーツも進めていくのです。
上パーツに合わせながら少しずつ削っていきます。
当たっている所を様子を見ながら削り取っていきます
こんな感じにすると一応、組みあがります
こうなります。
ちょっと鬣が足りなかったのでその部分は盛ってやります
こうなりました。
上と後ろに少し延長したのがお分かり頂けると思います
本当は盛りたくないんですけどね・・・
まだまだ未熟です(涙)
こうするとスッキリ下顎パーツが隠れますね
こんな感じです
パーツが揃ったらドリルで可動部分に穴を開けます。
しっかりと、慎重に真中を貫通させるのです。
次は下顎パーツの鬣を彫り込んでいきます
合わせた状態で馴染みよく柄を彫り進めます
こうなります
鷹の時と違うのは、より一体感を持たせるために、下顎パーツが上にかぶる様にした事です。
より一体感が強くなったのが、お分かりいただけると思います
そして次は下顎の成形に入ります。
やはり慎重に、少しずつ様子を見ながら彫り出して行きます
口を開けるとこうなります
牙が上下にあるので、噛み合わせに気を使いながら彫り出します。
噛み合わせが決まったら、今度は下顎の鬣を彫り出していきます。
上のパーツと合わせながら慎重に進めていきます
折れやすい牙は一番最後に彫り出してやるのがキモです。
下顎パーツが出来ました。

こうなります
後ろがフラットなのは地金になってからネジをロウ付けする為です
上のパーツもやはり最後に牙を彫り出して完成です。
後ろから見るとこうなります
裏はこうですね。
綺麗に組み上げる為になるべく真っ直ぐ裏も抜いてやるのが少し難しいです
スムーズに動く為には必須条件なんですけどね
これでワックス作業は終わりです
裏側も気を使っています
後ろから見ても合わせ目が目立たないように気を使いました
このように開きます
複雑な動きですよね(笑)
私は細かな彫刻は大体この3本で進めていきます
線を彫るのにスパチュラを使用し、細かなラインを丸めたり成形するのはキサゲを使います
ワックス作業以外でもキサゲは多用する為に、私の右手の薬指は変形してます(笑)
キサゲタコですね
これが私のワックス作業の全ての流れです。
志的には盛らずに全てを彫り出す事が目標なのですが、まだまだ一発で決まる事は少ないです。
修正が効くのがワックスの利点だと考えればいいだけなのですが「彫りだしてやる!」という個人的な美学は大切にしたいものなんですよね(笑)

「これから削る物は、既にワックスの中に入っていて、それを取り出せばいい」

という信念の元にこれからも精進していきたいと思います。

とはいえ、盛りワックスの造形は別ものなのでそれはそれということで(笑)


シルバーになったのがこれです。
大きさは従来のライオンヘッドペンダントと殆ど同じ大きさですね
この大きさにまとめるのに苦労しました
全体の修正、細かな仕上げを終えた原型です
後ろはこの様になってます。
ネジの切ってある芯をたてました
ここには回転式のパーツが付きます
上から見ても可動部分が何処なのか分かりづらくしました。
これは原型なので色付けはしていませんが、実際の商品はイブスのでもっとわからなくなると思います。
この角度だと下顎パーツが上のパーツに覆い被さっているのが分かっていただけると思います。
下から見るとこんな感じです。
この角度からでもやはり一体感を大切にしました。


これで原型が完成したわけです。
他のアウルズの作品達も、ワックスで作るときは大体同じ作業で製作しています。
ワックスで8割進めて地金になってから完全体にする感じですかね。
今回のライオンヘッド金具は本体以外にも後2パーツ使うのですが、そちらは今使用している物を流用します。
最終的にどうなるのかは、作品紹介を見てください。
これは色々使えそうなので、今後の展開をお楽しみに!

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